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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 [映画]

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』を観た。ティム・バートン監督作品。ブロードウェイの巨匠スティーヴン・ソンドハイムとヒュー・ウィーラーが手掛けたトニー賞受賞の同名舞台を映画化。

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19世紀のロンドン。フリート街で理髪店を営み、妻と娘と幸せに暮らすベンジャミン・バーカー。だが彼はある日、美しい妻に目を付けたターピン判事によって無実の罪で投獄されてしまう。15年後、脱獄に成功したベンジャミンは、“スウィーニー・トッド”と名を変え、街に戻ってくる。しかし、大家でもあるパイ屋の女主人ミセス・ラベットから聞かされたのはあまりにも辛い妻と娘の末路だった。フリート街に再び開いた理髪店。商売道具のカミソリを手にしたスウィーニー・トッドは、復讐するそのときを待つ。
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オープニングからその美しさにドキドキした。白と黒を基調とした映像に鮮やか過ぎるくらいに鮮やかな赤。暗く陰鬱な現在(19世紀のロンドン)と美しく彩られた過去や空想の非現実な世界。作品全体に漂うティム・バートンらしい毒のある、でもどこか愛おしさを感じるようなコミカルな演出がすばらしい。ストーリーはビックリするくらい暗くて重くて、おどろおどろしい。古典的なホラーのようでもあり、悲劇的な愛の物語でもある。そして、ミュージカル。出演している俳優たちのほとんどは歌に関してははじめての経験。だからかなと思うのだが、よくあるミュージカルとは一線を画する。全編を通して歌われるが、その歌はキャラクターの内から溢れ出る感情であり、それは台詞をしゃべるよりもより感情的であるとゆうぐらいで、それほど違和感がなかったように思う。スウィーニー・トッド(ベンジャミン・バーカー)を演じたジョニー・デップはやはり最高。ほかの誰もこの役をこなせなかっただろうと思わせる演技だった。歌もうまい。ミセス・ラベットを演じたヘレナ・ボナム=カーターも、ターピン判事を演じたアラン・リックマンも、歌と演技、両方すばらしかった。ほかの共演者もみんな歌うまい。ビックリ。スウィーニー・トッドは残酷な殺人鬼ではあるけれど、無実の罪をきせられ、最愛の妻と娘を権力によって奪われた哀れな被害者でもある。確かに残酷で目を覆いたくなるようなシーンもたくさんあり、観ているのが辛くなるけれど、でもそれだけではないことをちゃんと観てほしいと思う。そこには、幸せな日々がいかに脆く、たったひとつの支え(彼にとっては家族)を失うだけでヒトはどれだけ残酷になれるかとゆうとても大きなテーマが描かれている。人間はとても弱く愚かな生き物であり、いとも簡単にその道を外れる。完璧なものなどこの世にはなく、誰もが間違いを犯す危険をはらんでいるのだ。残酷な絵本のように美しいその世界は、実はとても生々しく、人間の本質をついているように思う。


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コメント 2

haruhaha

観てみたいな~ってちょっと思ってたんですけど・・
やっぱり怖そうですね・・^^;私にはムリかなぁ~~
夢見ちゃいそうだもんな~~(笑)
あっこさんの説明読んでなるほどなぁ~って思いましたよ。^^
ジョニー・ディップならではのハマり役になったようですね。
by haruhaha (2008-01-29 03:56) 

あっこ

haruhahaさん、
nice!&コメントありがとうございます。
グロイのが苦手な方は観ないほうがいいと思います。
私はグロイのとかわりとヘーキなんですけど、それでも
かなりキツイと思うシーンがありました・・・・。
目をそむけたくなるようなシーンとか痛いシーンとか・・・・。
きっと賛否両論だろうなぁと思います。
by あっこ (2008-01-29 20:59) 

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